commentary

[仏具辞典]おりんってなに? 使い方や選び方を徹底解説

この記事では仏具の「おりん」について詳しく説明しています。仏壇に添える仏具と聞いて、多くの人がおりんを思い浮かべるのではないでしょうか。今回はおりんの役割や正しい使い方、選ぶときのポイントについてご紹介します。

2023.04.10

こんにちは。富山県高岡市で仏像や仏具、美術工芸品の製造、卸売業を営んでいる本保です。私たちは、職人技が息づく伝統的な仏具から、現代の住まいになじみやすい手元供養の道具まで、種類豊富な商品を全国の皆さまにお届けしています。
このサイトでは、いくつもの時代を経て形を変えながらも、私たちの暮らしの身近にある仏像や仏具について、わかりやすくご説明します。

 

近年はインテリアに合うモダンな仏壇や形式にとらわれない手元供養が普及して、仏具のバリエーションも豊富になっています。特におりんは一見、仏具とはわからないような、おしゃれなものも増えています。

おりんの澄んだ美しい音は極楽浄土にまで届くといわれており、故人と遺された人々をつなぐ役割もあるそうです。それゆえ、音色にはこだわって選びたいという人も多いでしょう。

今回は、おりんの役割や種類、正しい鳴らし方について解説するとともに、おすすめのおりん商品をいくつか取り上げてみました。

1.おりんってなに?

おりんは梵音具の一つです。梵音具とは音を出す仏具のことで、木魚やお寺の鐘も梵音具に属します。お寺では「鏧子(けいす/きんす)」とも呼ばれる鉢型の梵音具を用いますが、それを仏壇用に小さくしたものが「おりん」になります。

1-1.おりんとはどのような仏具?

ご家庭の仏壇では、毎日手を合わせる前や ご飯やお供えものをするときに、おりんを鳴らす人が多いと思います。
一般的におりんは、読経を始める前、読経の最中、そして読経の終わりに鳴らし、鳴らすタイミングや回数は宗派によって多少違いがあります。
おりんを鳴らすのは、読経の始まりと終わりを区切るためといわれていますが、仏様に読経開始を知らせる合図であるという説や、読経の音程やリズムを合わせるためなど、諸説あります。

1-2.おりんの正しい使い方とは?

おりんはりん棒と呼ばれる棒を使って鳴らしますが、おりんの音をより美しく響かせるためには、りん棒を正しく扱う必要があります。
りん棒は上部を親指と人差し指でつまむように持ち、おりんの外側もしくは内側を優しく叩いて鳴らします。真上からおりんの縁を叩いてしまうと、本来の音色が響かないばかりか、縁やりん棒を傷つけてしまう恐れがあります。
なお、外側か内側かの叩く側や鳴らす回数は、宗派や地域の風習によって異なります。

1-3.おりんを鳴らす意味は?

おりんの澄んだ美しい音は人々の心を落ち着かせてくれるだけでなく、その音は極楽浄土の仏様の耳にまで届くといわれています。梵音具の「梵」には清浄、神聖なものという意味があり、おりんの音は、人々の邪念を取り払い、お参りする場を清めてくれると考えられています。そして、長く響く余韻は仏様やご先祖様、亡くなった方へとつながり供養や祈りを届けてくれる。おりんは大切な仏具なのです。

2.おりんの種類

おりんには種類があります。それぞれの用途や使用する場面に合わせて、どんな種類があるかを知っておくと便利です。

2-1.鉢型

おりんの最も基本的な形です。仏壇に直に置くのではなく、おりん用の台の上に、りん布団と呼ばれる布団を敷いて、その上に置くのが一般的です。叩いた時におりんがずれたり動くのを防ぎ、音をより大きく長く響かせることができます。口径が大きいほど低音になります。

2-2.印金

携帯用のおりんです。小型のおりんとりん布団に持ち手が付いており、手で持っておりんを鳴らします。お墓参りの際や社寺を参拝して回る巡礼などで使われるほか、葬儀の際に印金を鳴らす宗派もあります。

2-3.台付きりん

ワイングラスのように、おりんと台が一体となっているタイプのおりんです。リン布団がないので、すっきりとした印象で、最近のモダンな仏壇にも合わせやすいです。小型でも台が支えとなり、多少強く鳴らしても転がる心配もなく、使い勝手のよいおりんです。

3.自分に合ったおりんの選び方

近年はデザイン、大きさ、素材など様々なおりんがあり、迷われる方も多いでしょう。選び方のポイントは大きく3つあります。

3-1.音色(好きな音かどうか)

おりんは毎日鳴らすものなので、音は重要なポイントです。やわらかい音、安心できる音など、自分にとって心地よく感じる、気に入った音を選ぶといいでしょう。音色が澄んでいるか、余韻が伸びて静かに消えていくかどうかも、意識して聞いてみてください。本サイトでも、おりんの音を試聴できます。

3-2.見た目(色・形・大きさ)

サイズは仏壇の大きさに合わせて選ぶのが一般的です。形は昔ながらのものからインテリア調のデザインまで、多種多様な商品を取り揃えていますので、おりんを配置する場所に合わせて選んでみてください。本サイトの商品ページでも様々なおりんをご覧いただけますが、ぜひお近くの仏壇仏具専門店にお出かけになり手に取っていただき、音色を聴いてみてはいかがでしょうか。

3-3.価格

おりんの価格は幅広く、手頃なものであれば、3000円ほどで購入することができます。それに対して、金や銀で製作した数百万円もする高価なものもあります。

4.おりん商品7選

数ある本保オリジナル商品の中から、おすすめのおりんを紹介します。

4-1.たまゆら

丸いフォルムと、鳴らすとゆらゆらと揺れる姿に癒される手のひらサイズのおりんです。心落ち着く音色と余韻を長く響かせることにこだわった設計で、りん棒と共におりんとして初めてグッドデザイン賞を受賞。人気の高いおりんです。

より詳しい情報はこちら

4-2.二方りん

良い音にこだわりたい方におすすめなのが、代々卓越した技術を受け継ぐ二方屋克明により、銅に錫を配合した砂張(さはり)という素材を用いて、丹念に手作業で仕上げられた「二方りん」という逸品です。うねるようなゆったりとした共鳴音が余韻の最後まで響き渡る。その音色は他のおりんとは一線を画す、無二の特性です。

より詳しい情報はこちら

4-3.砂張りん

「砂張りん」は、銅と錫の合金である砂張を素材としたおりん。澄み切った音色と心地よい余韻を奏でます。正倉院の宝物にも用いられた高級素材で、5年10年と鳴らすうちにどんどん音が良くなっていくと言われています。砂張製は性質上大変硬く、落下などの衝撃が加わると割れてしまうこともあるので、丁寧に取り扱う必要があります。

より詳しい情報はこちら

4-4.鳳雲りん

旧来からのお椀型で仏具らしい落ち着いた雰囲気を受け継ぐ「鳳雲りん」。真鍮につや消し加工を施したシンプルなデザインは仏壇に合わせやすく、澄んだ音色と余韻を響かせます。

4-5.瑞竜りん

「瑞竜りん」は豊富なカラーバリエーションと彫金タイプを揃えており、お好きなデザインを選ぶことができます。寺院にある鏧子(けいす/きんす)に似せた形状で、澄んだ高音とゆっくり長く続く共鳴音が響きます。

より詳しい情報はこちら

4-6.広丸りん

「広丸りん」はシンプルな形と昔ながらのおりんらしいしっかりとした音色が特徴です。銅に亜鉛とケイ素を合わせた合金を素材とし、製作工程の工夫によりお求めやすい価格で提供しています。

より詳しい情報はこちら

4-7.鋳物大徳寺りん

寺院で用いられる「鏧子(けいす/きんす)」は通常手打ちで製作されますが、その風合いを模して仏壇用に鋳造したおりんです。真鍮に漆塗りを施した重厚感のあるつくりで、優しく深みのある音色が長く響き渡ります。

5.まとめ

おりんの役割や鳴らし方、種類、選ぶポイントなどをご紹介しました。おりんの澄んだ音色が響くひとときは、仏様やご先祖様、故人を想う大切な時間であるとともに、お参りする人々にも癒やしと安らぎを与えてくれます。誰もが簡単に扱うことのできる、身近な仏具だからこそ、大切に選びたいものですね。
わからないことがありましたら、お近くの仏壇仏具専門店スタッフの方にぜひご相談ください。
専門店には、オーソドックスなものから現代的なデザインまで、多彩なおりんが揃っています。宗派や仏壇に合った選び方や予算のご相談のほか、取扱方法やお手入れのコツについても教えてもらえて安心です。

一覧を見る