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[たまゆら]を解説|揺れ動く丸いフォルムと心落ち着く音色が特徴の現代おりん

この記事では、おりんの「たまゆら」について詳しく説明しています。玉のような形と、鳴らした時にゆらゆらと揺れる姿、そして長く響く澄んだ音色。人々の心に寄り添う「たまゆら」の特徴についてご紹介します。

2023.03.13

こんにちは。富山県高岡市で仏像や仏具、美術工芸品の製造、卸売業を営んでいる本保です。私たちは、熟練した職人技が息づく伝統的な仏具から、現代の住まいになじみやすい手元供養の道具まで、種類豊富な商品を全国の皆さまにお届けしています。
このサイトでは、いくつもの時代を経て形を変えながらも、私たちの暮らしの身近にある仏像や仏具について、わかりやすくご説明します。

 

インテリアに溶け込むデザインの仏壇や手元供養の普及に伴い、おしゃれでモダンな仏具やおりんが増えています。その中でも、「たまゆら」はかわいらしい丸いフォルムと澄んだ音色、鳴らしたときのゆらゆら揺れる姿に心が癒される、と多くの方々にご支持をいただいています。

 

「たまゆら」は仏具製作約400年の伝統を誇る富山県高岡市で、旧来のおりんにとらわれない発想から生まれました。今回はその特徴や製品に込めた思いについて、詳しくお話します。

1.「たまゆら」ってなに?

「たまゆら」は、おりんという音を鳴らす仏具です。おりんの音色は、お経を始める合図とも言われています。その澄んだ音色は、極楽浄土の仏様やご先祖様、亡くなった人にも届くとされ、聞き入ることで邪念を払ったり、場を清浄にしたりする意味があるそうです。そして現在では、仏壇でのお参りの際に欠かせないものとなっています。

 

「たまゆら」は、江戸時代から「金物の町」として発展し、仏具製作が盛んな富山県高岡市で作られています。真鍮製で錆びにくく、お手入れしやすいのもポイントです。

鳴らすとゆらゆらと揺れ続ける姿から「たまゆら」と名付けました。「たまゆら」には「ほんのわずかな時間」という意味があり、おりんが鳴っているひと時、亡き人を想い、つながりを感じてほしいという思いを込めています。

2. たまゆらりんの3つの特徴

「たまゆら」の特徴を3つに分けてご紹介します。

特徴1.長く響く澄んだ音色

「たまゆら」を鳴らすと、コンパクトながら、澄んだ音色が長く響くことに驚かれる人も多いでしょう。
「たまゆら」は、上部のおりん本体と土台とに分かれており、おりん本体は土台からのびる1本の支柱によって支えられています。この固定されていない一点支持により、鳴らすとおりんがゆらゆらと揺れながら、美しい音を長く響かせてくれるのです。「たまゆら」の一点支持は特許を取得した技術です。

特徴2.ユニークで機能的なりん棒

2つ目の特徴は、「たまゆら」専用のりん棒です。底面に重りを付けて、下部を丸くした、通常のりん棒とは異なるユニークな形をしています。細い棒の部分を持ち、丸い部分でおりんを鳴らします。
この形状はエネルギーが伝わりやすく、またおりんに当たる部分が球面同士のため互いに接する面積が少ないことから、澄んだ音色を美しく響かせることができます。さらに底に重りがあることで自立し、倒れても起き上がりこぼしのように起き上がってくれます(特許取得)。どこかに転がってなくしてしまう心配もありません。

特徴3.豊富なカラーバリエーション

3つ目の特徴は、多彩なカラーバリエーションです。シックな色合いから優しいパステルカラーまで30~40種類が揃い、仏壇やインテリア、お好みに合わせて選ぶことが可能です。おりんを支える芯棒が骨壺になっている「たまゆらプレミアム」という商品もあります。
仏壇・仏具の専門店では、多種多様な「たまゆら」を実際に見て、色や大きさの微妙な差を見比べながら、お気に入りを探すことができます。

りん棒は黒檀、花梨、メープルの3種類。音の響きは変わりませんので、仏壇や、おりん本体の色味に合わせて選べます。黒檀のみ、1cmほど短いことにお気づきでしょうか。黒檀は他の木より重いため、倒れたときに起き上がれる長さに調節しているのです。

「たまゆら」の下に敷く木製台はオプションで、黒檀、紫檀、アッシュの3種類から選べるので、仏具に合わせてコーディネートすることも可能です。木製台はなくても問題ありませんので、お好みでご使用ください。

3.「たまゆら」の開発秘話

ライフスタイルの洋風化に伴い、モダンな仏壇や手元供養が広がるなか、仏具にもそれに合った新しい形が求められるようになりました。私たちの元にも全国各地のお取引先から「今までにないおりんを作ってほしい」という声が寄せられ、地元企業のご協力も得ながら、「たまゆら」の開発が始まりました。

 

お椀を逆さまにしたような独特のデザインは、単に斬新さやかわいらしさだけではなく、美しい音と実用性を追求するなかで生まれました。旧来のお椀型のおりんは、小さくすると響きが弱くなり、りん棒で叩くと動いたり、転がったりしてしまうのが難点でした。小さくてもおりんとして音をしっかり響かせること、安定して使いやすいことが、デザインの発想の源になっています。

 

従来の形にとらわれないおりんの実現に向けて、試行錯誤を重ねた末にたどり着いたのが、1本の支柱でおりんを支える今の形でした。音を抑える接点が少ないため、澄んだ音がよく響きます。鳴らしたときのりん棒のエネルギーはゆらゆらと動くことで分散されるため、多少強く打ってもおりんの位置がずれる心配はありません。

「たまゆら」を鳴らすりん棒にも工夫を凝らし、起き上がりこぼしのような動きをさせるなど、少し遊び心を取り入れています。「仏壇のおりんをお子さんが鳴らしてくれたら、亡くなった方も喜んでくれるのではないだろうか」との思いもあり、子どもにも親しみやすい設計にしました。

専門店の方々によると、来店客のお子さんが「たまゆら」を気に入って鳴らしている姿をよく見かけるそうです。日常的に子どもが仏壇の前にいるという風景を生むきっかけになることは、「たまゆら」に込めた私たち製作者の願いでもあります。

6.まとめ

「たまゆら」は名前のとおり、玉のような形と、鳴らすとゆらゆらと揺れる動きが特徴的なおりんです。手のひらに乗るほどのサイズながら、澄んだ音色を美しく響かせて、亡くなったご家族への想いを優しく癒やしてくれることでしょう。

 

カラーバリエーションも豊富で、専用のりん棒とともに、仏壇やインテリアに合わせて選べます。毎日鳴らすおりんですから、音を確かめることも大切です。専門店には種類が揃っており、知識豊富なスタッフがお客様一人ひとりのご相談に乗ってくださいます。ぜひ足を運んでみてください。

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