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[仏具辞典]りん棒ってなに? 種類や使い方を徹底解説

この記事では、おりんを鳴らすときに使う「りん棒」について詳しく説明しています。りん棒は、おりんの音を鳴らすために欠かせないものであり、大切な仏具の一つです。故人を想い、美しい音を響かせるためにも、正しい持ち方や鳴らし方を知っておくことが大切です。

2023.09.04

こんにちは。富山県高岡市で仏像や仏具、美術工芸品の製造、卸売業を営んでいる本保です。私たちは、職人技が息づく伝統的な仏具からモダンな現代仏壇や手元供養の道具まで、種類豊富な商品を全国の皆さまにお届けしています。

このサイトでは、私たちの暮らしと共にある仏像や仏具について、分かりやすくご説明します。

 

仏壇でおりんを鳴らすとき、そばに備わっている「りん棒」を使用しますが、何気なく手に取って鳴らしているという方も多いと思います。おりんの音を美しく響かせるためには、おりんに合ったりん棒を用いて、適切な持ち方で鳴らすことが大切です。宗派によっては、おりんの外側と内側のどちらを叩くのかが決まっている場合もあります。

 

今回はりん棒にスポットを当てて詳しくご説明するとともに、選び方やおすすめの商品についてご紹介します。ご購入される際の参考にしてみてください。

1.りん棒ってなに?

まず最初に、りん棒について知っておきたい基礎知識からご説明します。

1-1.りん棒とは

りん棒とは、おりんを鳴らすための専用の棒であり、仏具の一つです。

仏具を揃える際、おりんの音やデザインにこだわることはあっても、りん棒をしっかり吟味する方は多くはないのではないでしょうか。

大きさや形が同じに見えても、おりんに当てる部分の硬さは様々です。鳴らしてみないことには、せっかく良いおりんを購入しても、思うように音が響かないということになってしまいます。

小さなおりんに対して硬すぎるりん棒を当てると、カチンと伸びのない音が出てしまうことがあるように、おりんの大きさや材質、縁の厚みに応じて、最適なりん棒を選ぶ必要があります。

1-2.りん棒の正しい持ち方

りん棒は、持ち手の端の方を親指と人差し指と中指でつまむように持つのが基本です。おりんの外側か内側をやさしく叩くと、美しい音が響き、長く余韻が続きます。

縁を叩くと本来の音色が響かないばかりか、おりんもりん棒も傷つけてしまう恐れがあるため、注意しましょう。

なお、おりんの叩く側や鳴らす回数は、宗派や地域の風習によって異なる場合があります。分からない場合は、菩提寺などに確認してみるといいでしょう。

1-3.りん棒の置き場所は?

りん棒はおりんと並べて仏壇に置くのが基本です。2つ併せて専用の台に置いておけば、なくす心配もありません。

2.りん棒と一緒に購入したい仏具

りん棒と一緒に揃えたい、おりんにまつわる仏具を紹介します。

2-1.おりん

おりんは、仏壇に手を合わせる時や読経をする際など、故人を供養するために音を鳴らす仏具です。鳴らす時はりん棒を使います。おりんの音は人々の邪念を取り払い、お参りの場を清めるとされています。またその澄んだ音色は、極楽浄土の仏様の耳にまで届くとも言われており、音を響かせること自体にも意味があるのです。

2-2.りん布団

りん布団は、お椀型のおりんを鳴らす際に、叩いた衝撃でおりんが動くことを防ぐために敷くものです。接地面積が大きいほど音の響きが抑えられてしまうので、そのおりんに合った大きさ、柔らかさの布団を選ぶ必要があります。最近では、りん布団がなくても動かないよう、形を工夫したおりんも増えています。

りん布団に載せたおりん

りん布団がなくても安定する[台付りん]

2-3.りん棒台

りん棒台とは、りん棒を置くための専用の台です。仏壇に置くことで、手に取りやすく、なくしたり転がり落ちたりすることも防ぎます。りん棒と一緒に揃えておくと便利です。りん台とりん棒台が一体になったタイプもあります。

最近は省スペースな自立型のりん棒も人気です。仏壇の大きさやデザインの好みに合わせて選ぶといいでしょう。

3.りん棒の選び方

りん棒を選ぶ際に気をつけたいポイントを解説していきます。

3-1.おりんとの相性

最も重要なのが、おりんとの相性です。実際に複数のりん棒で鳴らし比べてみると、響きの違いを感じられるはずです。仏具の専門店に行くと、おりんとともに様々なりん棒を手に取ることができるだけでなく、それぞれのおりんに合うりん棒の提案や、詳しい特長の説明をしてもらうことができます。それを踏まえて検討した上で、ご自身のおりんを最もよく響かせてくれるりん棒を選ぶといいでしょう。

3-2.置き方

りん棒としては、台に載せるタイプか、自立するタイプ、大きく分けて2種類があります。どちらを選ぶかは、おりんを置く場所や仏壇の大きさによって、バランスを見て決めましょう。

お子さんがいるご家庭では、子どもが触ってもなくならないよう、倒れても起き上がりこぼしのようにすぐ立ち上がる自立タイプがおすすめです。

3-3.デザイン

一般的には、りん棒に巻いてある布地の色柄と、りん布団や経机敷の色柄を揃える方が多いようです。色柄を揃えた方が仏壇上の見た目もすっきりし、全体が落ち着いた印象になるためでしょう。

4.りん棒のおすすめ商品

多種多様なりん棒がある中で、特におすすめの3点を紹介します。

4-1.たまゆら棒

「たまゆら棒」は2005年 にグッドデザイン賞を受賞した、新しい形のりん棒です。振り子のように軽い力で叩くだけで、おりんの音が豊かに響きます。同シリーズの「たまゆら」だけでなく、様々なおりんに合わせることができます。起き上がりこぼしのように倒れても自立し、立てたまま置いておけるのも特徴の一つ。柄の素材としては、黒檀、花梨、メープルの3種類があり、仏壇やおりんの色味に合わせて選ぶことができます。

 

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4-2.SUITEKI

「SUITEKI」は、底部分の金属をシリコン樹脂でコーティングしたりん棒です。おりんに当たった時の金属特有の音を和らげながらも、おりんの音をしっかりと美しく響かせてくれます。上記の「たまゆら棒」と同様に軽い力で鳴らすことができ、同じく自立型なので、置き場所も取りません。白と黒の2色展開。

 

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4-3.黒檀綴れ「巻」りん棒

「黒檀綴れ『巻』(こくたんつづれまき)りん棒」は 、黒檀製の棒のおりんに当てる部分に、華やかな金襴(きんらん)布が巻かれたりん棒です。金糸や銀糸を使って文様を織り出した金襴布を巻くことで、りん棒に厳かな印象を与えるとともに、おりんの音を柔らかに響かせるという特徴があります。金襴には、金色、朱色、紫色の3色があります。 

5.まとめ

今回は、おりんを鳴らすための仏具「りん棒」について詳しく紹介しました。おりんは仏壇で手を合わせる時や読経する際など、故人を供養するときに鳴らす大切な仏具です。その音には人々の邪念を払うとともに、祈りの心を音にのせて極楽浄土に届ける、という意味合いがあるとも言われています。おりんに最適なりん棒を使い、正しい鳴らし方で美しい音を響かせることは、とても大切なことなのです。

 

りん棒もおりん同様、近年は素材やデザインの多様化が進み、現代の暮らしにあった新商品が続々と開発されています。りん棒を選ぶ際は、実際におりんを鳴らして使い勝手や音を確かめることが何より大切ですので、仏具専門店にお気軽に訪ねてみてください。

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